城めぐりを本格的に始めたのは、64歳の誕生日に友人から「続日本100名城スタンプ帳」をプレゼントされたのがきっかけだった。「せっかくもらったから」と思い、まず近場の城址から訪ね始めたのだが、気がついたら1年で20城以上を巡っていた。
💬 最初に訪れた城跡は、地元から電車で1時間ほどの小さな山城の跡地。石垣だけが残る静かな場所だったが、ガイドブックに書かれた400年前の戦の話を思いながら石垣に手を触れた瞬間、鳥肌が立った。「ここで人が生き、戦い、死んでいったのか」と。
この記事では、歴史好きの65歳・元介護士の私が実際に各地の城を巡って感じた体験をもとに、城めぐりの魅力と楽しみ方をお伝えしたい。
城めぐりが60代のひとり旅に最適な理由
✅ 城めぐりが60代に向いている理由
- 一人でも楽しめる:城は「ひとりで考えながら歩く」のが一番楽しい
- 体力に合わせて選べる:平城・山城・城址など難易度の幅が広い
- 歴史を学びながら歩けるので、旅の満足度が高い
- 全国各地にあるので、旅の目的地が尽きない
- 「日本100名城」「続日本100名城」のスタンプ制度があり、達成感がある
私が城めぐりを気に入った一番の理由は「ひとりの時間を豊かに使える」からだ。退職後、ひとり暮らしの部屋で過ごす時間は長い。そこに「城めぐり」という目標ができると、旅の計画を立てる楽しさ、当日の高揚感、帰宅後の達成感と記録作業——と、一つの旅で何度も楽しめる。
私の城めぐり失敗談——山城で遭難しかけた話
城めぐりを始めて4ヶ月目、意気揚々と山城を訪れた日のことは今でも冷や汗が出る。「初心者向け」と書いてあったガイドブックを信じ、スニーカーで向かったのが間違いだった。
登山口から40分ほど歩いたあたりで、急に道が険しくなってきた。落ち葉で滑りやすく、道標も少ない。「引き返すべきか」と思ったが、なんとなく「もう少し」と進み続けた。
💬 城跡にはたどり着けたが、帰り道で道を外れてしまい、30分ほど山の中をうろうろした。スマホのGPSで何とか戻れたが、もし電池が切れていたらと思うと今でも怖い。
この失敗から学んだことは多い。山城を訪れる際は①トレッキングシューズを必ず着用②モバイルバッテリーを持参③登山届を出すか家族に行き先を伝える——この3点は絶対に守るようにした。
⚠️ 山城や山間部の城址を訪れる際は、十分な準備が必要です。舗装されていない道が続く場合があり、スニーカーでは対応できないこともあります。天気の急変や道迷いに備え、地図・モバイルバッテリー・水分を必ず持参してください。
城めぐりで深まる歴史の面白さ
お城の面白さは「石垣を見るだけ」ではない。その城が作られた時代背景、城主の人生、そこで起きた戦や政治的事件——すべてが絡み合って、一つの城が「物語の舞台」になる。
私が最も感動した城のひとつが、中部地方のある山城だ。戦国時代の末期、家臣に裏切られた城主が最後まで籠城し、落城した際に城に火を放って散った——という歴史を持つ城だ。天守台に立ち、眼下の盆地を見渡した瞬間、その城主が何を見ながら最後の時を過ごしたのかが、少しだけわかった気がした。
📌 現地で感じる「歴史のリアル」
本で読む歴史と、実際に現地に立って感じる歴史は全然違います。石垣の一つひとつを職人が積み上げた苦労、城門をくぐる時の感覚——それは旅に出ないと得られない体験です。
スタンプ帳と城めぐりの記録
「日本100名城スタンプラリー」は、公益財団法人日本城郭協会が実施するスタンプ収集企画だ。全国100城にスタンプポイントが設置されており、現地でスタンプを集めていく。これがあるだけで、旅の目的地と達成感が明確になる。
私のスタンプ帳は今、52城分が埋まっている。スタンプを押すたびに「また一つ制覇した」という達成感があり、空白のページを見るたびに「次はどこに行こう」という楽しみが生まれる。
ℹ️ スタンプ帳の入手方法
「日本100名城スタンプ帳」は全国の書店やAmazonで購入できます(税込1,100円程度)。「続日本100名城」のスタンプ帳もあり、合わせて200城を目標にすることができます。
また、訪れた城を写真とメモで記録するノートを別途作っている。石垣の種類、縄張り(城の設計)の特徴、城主の名前、その日の天気や食べたもの——こんな記録が後から見返す時にとても楽しい。記録を続けることで、城についての知識も自然に深まっていく。
城めぐりを始めるための準備
✅ 城めぐりに必要な持ち物
- トレッキングシューズまたは歩きやすいスニーカー
- モバイルバッテリー(山城は電波が弱い場合あり)
- 城専用のガイドブックまたはスタンプ帳
- 小さなノートとペン(現地でメモを取る用)
- 水分・軽い行動食(山城や広い敷地の城では必需品)
費用面では、入城料が300〜800円程度が多く、交通費と合わせても日帰りなら3,000〜8,000円以内に収まることが多い。泊まりがけの城旅も、シニア向けの旅館プランや一人旅パックを活用すれば比較的お得に行ける。
📋 この記事のまとめ
- 城めぐりは「歴史を感じながらひとり旅する」60代に最適の趣味
- スタンプラリーで達成感と次の目標が生まれ、モチベーションが続く
- 山城訪問は事前準備(靴・バッテリー・水分)が必須
- 現地に立って感じる歴史のリアルは、本やテレビでは得られない体験
- 城めぐりの記録ノートを作ると、旅の充実度がさらに増す
城めぐりで出会った「地元の人しか知らない話」
城を訪れる醍醐味のひとつは、観光パンフレットには載っていない「地元の語り部」との出会いだ。ある山城を訪れた際、入口で地元のお爺さんが「案内しましょうか?」と声をかけてくれた。断る理由もなく一緒に歩いたら、2時間以上話し続けてくれた。
パンフレットには「落城した」とだけ書かれていた城に、地元では「落城前夜に城主が家臣に田畑を分け与えて逃がした」という言い伝えが残っていることを教えてもらった。文献では読めない「生きた歴史」が、そこにあった。
💬 「城跡は石垣だけだけど、言い伝えはちゃんと生きてる」——地元の方のその一言が、城めぐりのもう一つの楽しさを教えてくれた。歴史は本の中だけじゃなく、人々の記憶の中にもある。
スタンプ帳がもたらす「収集する楽しさ」
日本100名城スタンプラリーのスタンプ帳は、今52城分が埋まっている。ページを開くたびに、その城を訪れた日の記憶がよみがえる。「あの日は雨だったな」「この城の石垣が一番感動した」「帰りにこんなものを食べた」——スタンプ一つひとつに物語がある。
スタンプの空白を見るたびに「次はここに行こう」という楽しみが生まれる。「残り48城」という数字が、次の旅の目標になっている。達成したらどうするか?——「続日本100名城」のスタンプ帳が、すでに机の引き出しに入っている(笑)。
✅ 城めぐりをより楽しくするための工夫
- 訪問前に城の歴史・城主・戦をネットや本で予習する(現地での感動が全然違う)
- 地元の観光案内所や地元の方に「知る人ぞ知るスポット」を聞く
- 城で食べた名物料理・地元の食事を写真付きで記録する(食の記録が旅を豊かにする)
- 季節を変えて同じ城に複数回訪れる(桜の季節・紅葉の季節で全く表情が変わる)
- 城めぐり仲間をSNSで見つける(X「#日本100名城」タグで同好の士が見つかる)
城めぐりが教えてくれた「歴史の中の生き方」
多くの城を訪れるうちに気づいたことがある。城の主役は「城」ではなく「そこで生きた人間たち」だということだ。戦に勝った城主・負けた城主、家族を守るために戦った武士、城下で暮らした町人——彼らはみな、自分の時代を懸命に生きた。
65歳で自分の「残りの時間」を考えるようになった今、400年前に城で生きた人たちの姿が妙に身近に感じる。立場は違っても「限られた時間をどう生きるか」という問いは、400年前も今も変わらない。城めぐりはその問いを、石垣の前に立って感じさせてくれる場所だ。
📋 この記事のまとめ
- 地元の語り部との出会いが「パンフレットには載らない生きた歴史」を教えてくれた
- スタンプ帳の52/100が次の旅への動機に。空白のページが「楽しみな未来」になっている
- 事前予習・地元情報収集・食の記録・季節違いの再訪で城めぐりの深さは無限に広がる
- 「城で生きた人たちの姿」が、65歳の自分の「残り時間の生き方」を考えさせてくれる
- 城めぐりはただの観光ではなく、歴史と自分の人生を重ねて考える「哲学の旅」でもある


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