60代からの断捨離は、物を減らすことではなく、残りの人生をどう過ごしたいかを問いかける作業だったと思っています。
まだ物が多くて困っている方に伝えたいのは、「全部片付けなくていい」ということです。今日1ヶ所だけでいい。玄関でも、引き出し1段でも。そこが変われば、続きへの気力が生まれます。
3年前の冬、台所でつまずいて転びました。幸い骨折はしませんでしたが、右手首を強く打って、2週間ほどギターが弾けなくなりました。
原因は明白でした。床に置きっぱなしにしていた雑誌の束です。介護士として何十人もの利用者さんの転倒事故を見てきたのに、自分の部屋がこんな状態だったことが、情けなくて仕方なかったです。
💬 「年を取ってからの転倒は、骨折→入院→筋力低下→寝たきり、という最悪のパターンを引き起こす」。これは介護現場での鉄則でした。それを自分事にできていなかった。
転倒事故の翌日、部屋を見渡した
手首が痛むなか、改めて部屋を見渡してみると、自分でも驚くほど物が多かった。以下のようなものが、家中にあふれていました。
- 仕事で使っていたファイルや資料(段ボール3箱以上)
- 着なくなったスーツや作業着(クローゼットが閉まらない)
- 使いかけの工具類、旅行土産の置物
- 読みかけで積み上がった本
- 壊れかけているのに捨てられない電化製品の箱
⚠️ 電気ケトルだけで3台ありました。「修理すれば使えるかも」と思って残していたのですが、3台のうち1台も結局修理しませんでした。
断捨離の方針を決めた3つのルール
最初に決めたのは、無理なく続けるための自分ルールです。以前にも「片付けよう」と思ったことはありましたが、やる気だけが先走って1日で疲れ、結局元通りになった経験がありました。
✅ ゴンタ流・断捨離の3ルール
- 1日30分だけ(タイマーをかけて、鳴ったら必ず止める)
- 迷ったものは「保留箱」に入れ3ヶ月後に再判断
- 思い出の品は最後まで残しておく(感情疲れを防ぐため)
最初は「玄関」から始めた
まず玄関に手をつけました。傘立てに傘が7本ありました。骨が折れて使えないもの、骨が曲がっているもの、機能的には問題ないが古くなったもの——。5本処分して2本だけにしたとき、玄関がすっきりした感覚が気持ちよかった。
「ここが変わった」という目に見える変化があると、次の日もやろうという気になれます。最初の場所を「玄関」にしたのは正解でした。毎日必ず通る場所なので、変化が実感しやすいのです。
「保留箱」作戦が自分に合っていた理由
捨てるかどうか迷うものを、段ボール箱に入れて日付を書いておく。3ヶ月後に見直して、使っていなければ処分する——この方法が自分にはとても合っていました。
ℹ️ 保留箱のポイント
「捨てる」と決断しなくていい、という心理的な安心感が大事です。3ヶ月後に開けてみると、不思議なことにほとんどの物を「もういらない」と思えています。3ヶ月間一度も使わなかったという事実が、自然な確信に変わります。
捨てるとき、感情が揺れた瞬間
仕事で使っていた何十冊もの介護ノートや辞職時の職員からの寄せ書きがありました。介護ノートは利用者さんの様子を記録したもので、個人情報が含まれているためずっと捨てられずにいました。片付けながら「この人は今どうしているかな」「あの職員は元気かな」と懐かしく思い出すこともありました。
最終的には、個人情報の記載部分をシュレッダーにかけ、残りは古紙回収に出しました。捨てながら、仕事時代のことを少し振り返ることができて、悪くない時間でした。
もう一つ、亡くなった父の遺品の腕時計が2本ありました。私には使えないサイズでしたが、簡単には捨てたくなかった。最終的にはリサイクルショップに持ち込みました。「誰かが使ってくれるなら」と思えたとき、気持ちが楽になりました。
家具を入れ替えて変わったこと
物を減らしてから、いくつか家具も替えました。
ローテーブル→高さのある折りたたみテーブル:ローテーブルは立ち座りのたびに膝に負担がかかっていました。高さのある折りたたみテーブルに変えてから、膝の痛みが明らかに減りました。
床置きのテレビ台→脚付きテレビ台:掃除機がすっと入るようになり、床掃除の時間が半分以下になりました。「掃除が楽になる家具選び」は60代に特に重要だと実感しました。
📌 60代の家具選びの基準
「見た目」より「立ち座りのしやすさ」「掃除のしやすさ」「転倒しにくさ」を優先することが、安全で快適な部屋につながります。
部屋が変わると、気持ちも変わった
断捨離を始めて半年後、部屋の様子はかなり変わりました。床に物がなくなり、夜中に安心して移動できるようになりました。クローゼットに余裕ができて、服の出し入れが楽になりました。
一番気に入っているのが、壁沿いに作った「ギターコーナー」です。ギタースタンドを置いて、楽譜も手の届く場所に整理しました。前は物が多くてギターを出すこと自体が面倒でしたが、今は気が向いたときにすぐ弾ける。練習頻度が上がりました。
断捨離で「出てきたもの」——物への記憶と感情
断捨離を進める中で、一番時間がかかったのは「捨てるかどうか迷うもの」ではなく「捨てると決めたのに手が止まるもの」だった。亡き両親からもらった食器、若い頃に読んだ本、元妻と旅行した時の写真——これらは「使わないけれど捨てられない」という矛盾した状態で、長年押し入れの奥に眠っていた。
💬 元妻との旅行写真を捨てる時、不思議と悲しくなかった。「これが記憶の中に残っていれば、物は捨てていい」と思えた。物を捨てることと、記憶を捨てることは違う——そう気づいた時に、手が動いた。
物を整理することは、自分の人生を整理することでもあった。「この物があった時代の自分」に向き合い、感謝して手放す——そのプロセスが、単なる片付けを超えた体験になった。
断捨離後の部屋——空間の変化が気持ちに与えた影響
3ヶ月かけて断捨離した結果、部屋の物が約4割減った。押し入れのものをほぼ全部出して選別し、ゴミ袋20袋分を処分した。
空間が増えると、不思議なことに頭の中まですっきりした気がした。「物が少ない部屋は呼吸しやすい」という感覚は本当だと実感した。毎朝起きた時に、「今日もここで1日が始まる」という清々しさがある。
✅ 断捨離を進める「ゾーン別」アプローチ
- ① まず「確実に捨てられるもの」から——壊れた物・期限切れ・明らかに不要なもの
- ② 次に「1年以上使っていない物」——使う理由が思い浮かばなければ手放す
- ③ 「迷う物」は別の箱に入れて3ヶ月保管——その間に手に取らなければ手放す
- ④ 「思い出の物」は最後に——感情が絡むので体力と気力がある時に行う
- ⑤ 1日1エリアずつ進める——一気にやろうとすると挫折しやすい
インテリアの見直し——「自分らしい空間」を作る楽しさ
物が減った後、残った家具と小物の配置を見直した。「どんな部屋で過ごしたいか」を初めて真剣に考えた。
結論は「城と俳句がある部屋」だった。スタンプ帳と城の写真を飾り、お気に入りの句集を本棚に並べた。100円均一のフレームに自分の好きな俳句を書いて飾った。費用はほとんどかかっていないが、「自分の好きなもの」で囲まれた部屋は、帰ってくるたびに「ここが俺の場所だ」と感じさせてくれる。
📋 この記事のまとめ
- 断捨離は「物の整理」であり「人生の整理」——物に宿った記憶と向き合うプロセス
- 物4割減・ゴミ袋20袋分の処分で部屋が「呼吸しやすい空間」に変わった
- 断捨離は1日1エリア・迷う物は3ヶ月保管ボックスの「ゾーン別アプローチ」が継続しやすい
- 「城と俳句がある部屋」——自分の好きなものだけ残した空間が本当の居場所になった
- 空間がすっきりすると思考もすっきりする。断捨離は精神的なデトックスでもある


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