「60歳を過ぎてから新しい趣味を始めるのは、なんだか恥ずかしい気がする」——退職した当初、私はそんなことを考えていた。でも実際に動いてみると、60代から趣味を始めることには、若い頃とは違う特別な楽しさがあることに気づいた。
💬 最初に参加した水彩画教室で、私より10歳年上の75歳の女性が「私、去年から始めたの」と言ってさらりと素敵な絵を描いていた。「始めるのに遅すぎることなんてない」と、その瞬間に実感した。
この記事では、65歳・元介護士の私が退職後に新しい趣味に挑戦して気づいた、60代からの趣味と交友の楽しみ方をお伝えしたい。
なぜ60代からの「新しい趣味」が大切なのか
ℹ️ 退職後の生活リズムと趣味の関係
定年退職後、生活に「目的と張り」を作れるかどうかが、その後の健康・精神状態に大きく影響します。研究では、退職後に新しい趣味や社会的つながりを持つ人ほど、認知症リスクが低く、主観的幸福度が高い傾向があります。
私が退職後に最初に感じた変化は「時間が余りすぎて怖い」ということだった。現役の頃は「早く休みたい」と思っていたのに、いざ自由な時間が増えると何をすれば良いかわからず、テレビの前に座りっぱなしの日が増えた。それが続くと、気持ちがだんだん沈んでくるのがわかった。
私が試した趣味の体験談
① 水彩画——「下手でいい」と言われた安心感
地域の公民館で開かれる水彩画教室に参加したのは退職から3ヶ月後。「絵なんて小学校以来描いたことない」という状態で恐る恐る入った。
先生(60代の女性)の最初の言葉が「上手に描こうとしなくていいです。自分が気持ちいいと感じる色を塗ってください」だった。その言葉で一気に緊張が解けた。初回に描いたのは庭の鉢植えの花。歪んでいて色も変だったが、「自分で描いた」という充実感は本物だった。
💬 教室の仲間(60〜70代の男女10名ほど)との会話が楽しくて、毎週の教室が「外出する理由」になった。趣味そのものよりも「その場に行く理由がある」ことが、どれだけ大切かを知った。
② ウォーキング同好会——一人の散歩が「つながり」に変わる
健康のために始めた散歩だったが、一人で歩き続けるのは正直退屈だった。そんな時、市の広報誌でウォーキング同好会の案内を見つけた。
月3回、土曜の朝8時に公園に集まり、1時間半ほど一緒に歩く。それだけなのに、毎回新しい話題で盛り上がる。「最近テレビで見たあの話」「この地域の昔の様子」「孫の話」——歩きながら話すのは、座って話すよりも距離感が縮まりやすい気がする。
📌 ウォーキングでつながれる理由
並んで歩く状況は、向き合って話すよりも圧迫感が少なく、自然な会話が生まれやすいと言われています。初対面の人とも打ち解けやすいのが、ウォーキング系グループの特徴です。
③ 将棋サークル——「頭を使う」楽しさの再発見
将棋は若い頃に少しだけ指したことがある程度だったが、地域の将棋サークルに「観戦だけでも」と誘われて参加してみた。最初の3ヶ月は負けっぱなしだったが、4ヶ月目に初めて先輩に勝てた時の喜びは格別だった。
将棋サークルの良いところは「年齢・性別・職歴がフラットになる」こと。盤を挟めば元社長も元工員も同じ。相手の一手に集中している間は、日常の悩みを忘れられる。
60代から友達を作るための3つのコツ
✅ 新しい交友を広げるコツ
- 「目的のある場所」に行く:趣味・勉強・ボランティアなど共通のテーマがある場が友達を作りやすい
- 最初は「聞き役」に徹する:自分の話より相手の話を聞く方が、印象が良く、会話が続きやすい
- 「また来ます」を大事にする:一度参加して終わりにせず、3回以上継続することで顔なじみになれる
退職後の人間関係は「職場」という強制的なつながりがなくなるため、意識的に動かないと友人が減る一方になる。「自分から動く」ことが、60代以降の交友を広げる唯一のコツだと感じている。
⚠️ 新しいコミュニティに参加する際は、詐欺や悪質な勧誘に注意してください。特に高額な「入会金」や「教材費」を最初から求めてくるグループは要注意です。地域の公民館・市区町村運営のサークルから始めることをおすすめします。
📋 この記事のまとめ
- 60代からの新しい趣味は「遅すぎる」ということは一切ない
- 趣味そのものより「その場に行く理由と仲間ができること」が心の健康に直結する
- ウォーキング・絵・将棋など、体力・費用が少なくて済む趣味が60代には向いている
- 友達作りは「3回以上継続」が基本。一度参加して終わりにしないことが大切
- 公民館や市区町村の無料・低コストなサークルから始めるのが安全で効果的
「合わなかった」趣味から学んだこと
退職後に試して「自分には合わなかった」趣味もある。正直に話すと、ゴルフ(費用が高すぎた)・ジム通い(一人でマシンを使い続けるのが退屈)・陶芸(作品を置く場所に困った)の3つは1〜2ヶ月で辞めた。
しかしこれらの「合わなかった経験」が、のちに「俳句・ウォーキング・料理が自分に合う」という答えを見つける手がかりになった。「合わなかった」は失敗ではなく、「自分の好み」を知るための必要なプロセスだったと今は思っている。
💬 ゴルフをやめた理由を人に話したら、「それ言っていいの?」と笑われた。でも本当のことだ。費用・移動・待ち時間——「趣味のために我慢する」感覚が続いたら、それは自分に合っていない証拠だ。
新しい交友を広げるための「共通言語」の作り方
60代になってから、「共通の話題がないと会話が続かない」という壁を感じることが増えた。仕事の話題がなくなると、政治・健康・天気しかない——そういう状態になりやすい。
そこで意識して「共通言語になる趣味」を持つようにした。俳句・城めぐり・料理——これらは、同じ趣味を持つ人と会うと、話題が尽きない。趣味は「楽しむため」だけでなく「人とつながるための共通言語」として機能する。
ℹ️ 60代の交友に向いている趣味の条件
①共通の話題が自然に生まれる(同じ趣味の人と会話が弾む)②グループ活動の要素がある(教室・サークルなど)③「上達した自分を誰かに見せたい」という意欲が生まれる——この3点を満たす趣味は、新しい交友を広げやすいです。
「年下の友人」という新しい関係
退職後、意外にも年下の人との交流が増えた。俳句教室では40代の参加者と仲良くなり、ボランティアガイドでは30代のスタッフと一緒に活動することがある。
年下の人との関係は、同世代とは違う刺激がある。彼らの価値観・仕事・家族への向き合い方——「そんな考え方があるのか」と毎回学びがある。一方で、私の経験が彼らの参考になることもある。世代を超えた関係は、孤独感を感じにくくさせてくれる「多様なつながり」だと感じている。
✅ 趣味と交友を豊かにするための行動リスト
- 「合わなかった」趣味を素直にやめる勇気を持つ(続けることが目的ではない)
- 趣味を「楽しむため」だけでなく「共通言語を作るため」という視点で選ぶ
- 年下・年上・性別問わずフラットに接する——趣味の場では年齢差が縮まる
- 3ヶ月に1回は「新しい場所・グループ」に顔を出してみる習慣を持つ
- 合う人と合わない人がいるのは当然——「全員と仲良くなろう」と思わない
📋 この記事のまとめ
- 「合わなかった趣味」の経験が「自分に合う趣味」を見つける手がかりになった
- 趣味は「楽しむため」だけでなく「共通言語を作るため」という視点が交友拡大に効く
- 俳句・城めぐり・料理のような「話題が尽きない趣味」が60代の交友に向いている
- 年下との交流は新しい刺激と学びをもたらし、多様なつながりが孤独感を防いでくれる
- 3ヶ月に1回は新しい場所・グループに顔を出す——それだけで交友の範囲が少しずつ広がる


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