ギターを再開したのは、退職後に部屋の片隅でほこりをかぶっていたケースを見つけたことがきっかけでした。40代のときに「永ちゃんをいつか弾きたい!」と思って買ったギターが、20年以上ケースに眠ったままでした。
退職して時間ができたとき、ふとそのケースを開けてみました。弦は錆びていましたが、本体は無事でした。「今がそのときだ」と思って、弦を張り替えました。
💬 最初のコードを押さえようとしたとき、指が全然言うことを聞きませんでした。20年のブランクはやはり大きかった。でも「下手でいい、弾けるようになればいい」と思って続けました。
60代からの楽器、どんな壁があるか
正直に書くと、60代から楽器を再開(または始める)のには、いくつかの壁があります。

- 指の動きが鈍くなっている:若い頃より指が動きにくく、思うように弾けない
- 弦を押さえる指が痛い:指先の皮が薄くなっているため、最初はかなり痛い
- 暗譜が難しくなった:記憶力が若い頃より落ちており、コードを覚えるのに時間がかかる
⚠️ これらは最初の1〜2ヶ月だけの壁です。指の皮は続けていれば厚くなります。コードも繰り返せば体が覚えます。諦めたくなる時期を越えると、一気に楽しくなります。
最初にやったこと
YouTubeで「60代 ギター 初心者」と検索し、シニア向けの丁寧なレッスン動画を見つけました。無料で質の高い動画がたくさんあることに驚きました。
最初の1週間は、Gのコードを押さえることだけ練習しました。1つのコードが鳴るようになってから次へ進む、というゆっくりしたペースが自分には合っていました。
✅ ギター初心者にお勧めの最初のステップ
- 弦を交換する(古い弦は音が悪いため)
- Gコード・CコードとEm(3つだけ)を覚える
- 好きな曲の「サビだけ」を弾けるようにする
- 1日10〜15分だけ練習する(長時間やらない)
ギターが毎日の習慣になった理由
ギターが毎日の習慣になったのは、「ギターコーナー」を作ったことが大きいです。断捨離で部屋のスペースを作り、壁沿いにギタースタンドを置いて、楽譜も手の届く場所に整理しました。「出す手間がある」と続きません。すぐ弾ける環境を作ることが、一番の継続対策でした。
ℹ️ ギターの費用目安
本体:中古アコースティックギター1〜3万円、弦の交換(自分で):500〜1,000円/回、チューナー(クリップ式):1,000〜2,000円。月謝がかからないため、趣味の中ではコスパの高い選択肢です。
弾けるようになった曲と、その嬉しさ
半年後、初めて1曲通して弾けるようになりました。「フォーク酒場で流れていたような懐かしい曲」です(著作権の関係で曲名は省略します)。最後まで弾いたとき、誰も聴いていないのに嬉しくて、思わず「よし!」と声が出ました。
その感覚が、ギターを続けるエネルギーになっています。
音楽が心に与える効果
ギターを弾いているとき、他のことは考えません。老後の不安も、孤独感も、その時間だけは消えます。集中する趣味を持つことの心理的な価値を、60代になってから強く実感しています。
音楽を始めた日の記憶——人生初のウクレレとの出会い
楽器を触ったことなど、中学の音楽の授業くらいしかなかった。退職後、公民館の掲示板に「シニア向けウクレレ教室・体験無料」と書かれたチラシを見つけた。「ウクレレなら小さいし、音も優しそう」——それだけの理由で体験に申し込んだ。
初日、先生から渡されたウクレレを抱えた時の感触を今でも覚えている。軽くて温かみのある木の感触。「これが俺の楽器か」と思った瞬間、不思議と嬉しくなった。

💬 「ドレミファソラシド」すら弾けなかった私が、3回目のレッスンで「ハッピーバースデー」を弾けた時、先生が「上手ですよ!」と言ってくれた。大げさに聞こえるかもしれないが、あの瞬間は本当に泣きそうになった。
音楽習慣が60代の生活にもたらした5つの変化
ウクレレを始めて1年、生活に思わぬ変化が現れた。単に「趣味が増えた」以上の変化だ。
✅ 音楽習慣が生活にもたらした変化
- ① 毎日15〜20分の練習が「1日のアンカー」になり、生活リズムが安定した
- ② 指を動かす練習が、ボケ防止として機能していると実感(記憶力・集中力の向上)
- ③ 教室の仲間との「共通言語」ができ、会話が豊かになった
- ④ 弾ける曲が増えるたびに「小さな達成感」があり、自己肯定感が上がった
60代初心者が楽器を選ぶときのポイント
楽器といっても種類は様々だ。60代の体や生活スタイルに合った楽器選びは重要だ。私がウクレレを選んで正解だと感じた理由と、他の選択肢についてもまとめる。
ℹ️ 60代に向いている楽器の比較
ウクレレ:小型・軽量・弦が柔らかく指が痛くなりにくい・コードが覚えやすい。オカリナ:吹くだけなので音が出やすく、持ち運びに便利。ピアノ・電子キーボード:幼少期に習っていた人には再開しやすい。ハーモニカ:小型で安価、呼吸法が健康にも良い。
私がウクレレを勧める理由は「最初の1曲が早く弾けるから」だ。モチベーションを保つには、早めに「弾けた!」という体験が必要だ。ウクレレはその点で初心者に優しい楽器だと実感している。
教室仲間との交流——音楽がつなぐ縁
ウクレレ教室には60〜75歳の男女8名ほどが通っている。元々の職業も趣味もバラバラだが、ウクレレという共通項があることで会話が途切れない。
教室が終わった後、近くのファミレスでお茶をするのが習慣になった。「今日のコードが全然覚えられない」「あの曲、自宅で練習したら弾けた!」——そんな他愛もない話が、毎週楽しみになっている。退職後に「また会いたい人」ができたことが、音楽を始めて一番嬉しかった変化だ。
📌 楽器教室は「学ぶ場」ではなく「つながる場」
楽器の上達だけを目的にすると、上手くいかない時に挫折しやすくなります。教室は「仲間と会う場所」として捉えると、多少上達が遅くても続けられます。60代の習い事は技術習得よりコミュニティ参加の価値の方が大きいと感じています。
自宅練習のコツ——無理なく続けるための工夫
教室は週1回だが、自宅での練習を毎日続けることで確実に上達する。「毎日1時間練習する」は無理でも「毎日15分だけ」なら続けられる。
おわりに
60代から楽器を始めることを躊躇している方に言いたいのは、「上手く弾けなくてもいい」ということです。弾けるようになっていく過程そのものが、毎日の楽しみになります。
ギターに限りません。ハーモニカ、ウクレレ、ピアノ——どれでも音を出すだけで心が動きます。まず1音から始めてみてください。
✅ 自宅練習を習慣にする3つのコツ
- ウクレレを「すぐ手が届く場所」に置く——ケースにしまうと出すのが億劫になる
- 練習時間を「食後のコーヒータイム」など他の習慣とセットにする
- 練習した曲・時間をカレンダーに記録する——記録が増えるほどやめにくくなる
📋 この記事のまとめ
- 退職後に偶然出会ったウクレレが、生活リズムと人間関係を豊かにしてくれた
- 音楽習慣で生活リズム安定・認知機能維持・仲間づくりという3つの効果を実感
- 60代初心者にはウクレレが最もとっつきやすい(弦が柔らかく、最初の1曲が早く弾ける)
- 楽器教室は「うまくなる場所」より「仲間と会う場所」として捉えると長続きする
- 自宅練習は毎日15分だけ。楽器を目立つ場所に置くことが継続の最大のコツ


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