趣味・生きがい

定年後を彩るボランティアガイドの魅力:60代から広がる学びと出会い

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序章:第二の人生、地域とともに歩む喜び

定年を迎えたあと、「自分はこれから何をして過ごすのだろう」と戸惑った時期がありました。

会社勤めの頃は休みも少なく、家と職場の往復ばかりで、地域の文化や人との関わりを深く知る機会はほとんどありませんでした。

ところが60代に入ると、自然と時間の余裕ができ、散歩のついでに目に留まる古い石碑や、地元の商店街に残る昔ながらの建物に関心を持つようになりました。

そんな時に「ボランティアガイド」という活動を知り、新しい挑戦として飛び込むことを決意しました。

この記事では、私がガイド活動を通じて得た学びや人との出会い、そして生きがいとしてどのように広がっていったかを、実体験を交えてお伝えしていきたいと思います。

ボランティアガイドを始めたきっかけ

最初のきっかけは、同じゴルフ仲間からの一言でした。

「ちょっと面白い活動があるから行ってみないか」と誘われたのです。

当時の私は、まだ定年後の生活に慣れず、日々どう過ごせばよいのか考えている最中でした。「人前で話すなんて自分には無理だ」と思っていたのですが、説明会に参加してみると、自分と同世代、さらには年上の70代・80代の方も楽しそうに活動していました。

その姿を目の当たりにして、「まだまだ新しいことに挑戦できるんだ」と背中を押された気がしました。

初めは半信半疑でしたが、一度やってみようと見習いとして活動をスタートしました。

初めてのガイド体験:戸惑いと達成感

実際にガイドをする初日。案内する場所は大阪城公園、関西でも有名な観光地です。

 

初めて実際に観光客を案内した日のことを、今でも鮮明に覚えています。

担当は大阪城を訪れた外国人グループで、不安が一気に込み上げました。

英語力には自信がなく、前日は寝つけないほど緊張していました。しかし、ベテランの先輩が「大事なのは完璧な英語じゃなく、表情と気持ちだ」と笑いながら励ましてくれました。

実際に案内する際には、身振り手振りを交えながら、事前に準備した大阪城の歴史や小話を一生懸命に伝えました。

終了後に観光客の一人が「あなたの案内で旅が特別なものになった」と笑顔で言ってくれた時、胸の奥が熱くなり、「やってよかった」と心から思えました。

仲間との交流が生きがいに

 

資料作成や現地調査のためにガイド仲間と一緒に歩く時間は、まるで学生時代に戻ったような楽しさがありました。

コースを下見している最中に突然の雨に遭い、みんなで喫茶店に駆け込んだこともあります。その時に交わしたたわいのない会話や笑い声が、今では大切な思い出となっています。

会社員時代には得られなかった「肩書や立場を越えた人間関係」がここにはあり、活動を続ける力になっています。

地元の歴史再発見

 

ガイド活動をきっかけに、地元の図書館や資料館へ足を運ぶ機会が増えました。

ある時、住吉大社に関する古い記録を見つけ、そこに書かれていた昔の祭礼の様子を調べてみました。その体験から「単なる説明役ではなく、自ら学んで伝える楽しさ」が芽生えました。

今では家族を連れて地域の歴史散策をすることもあり、ガイド活動が家庭にも良い影響を与えています。

 

忘れられない出会いの数々

 

ガイドをしていると、多くの人と出会います。

特に記憶に残っているのは、遠方から来たご夫婦に大阪城の案内をした際、「昔新婚旅行で来たけど、また来られてよかった。この話を聞いて、さらに思い出が深まった」と感謝されたエピソードです。

 

 

地元の小学生の社会科見学の案内でも、子どもたちの素直なリアクションに元気をもらいました。

時にはガイド終了後にお茶に誘われて、「あなたの話を聞けて本当に良かった。自分もいつか何か始めてみたい」と言われたこともありました。

 

ボランティアガイドから広がる趣味と仕事

ボランティアガイド活動を通じて、地元の歴史以外にも、趣味や特技が生かせる場面が多数ありました。

写真好きの僕は、観光スポットの撮影を任されてパンフレット作成に参加したり、健康維持のためのウォーキングコースづくりにも携わりました。

ガイドとして活動することで、体力づくりにもつながり、仲間と一緒に新しいルート開発に夢中になった時もありました。

また、ガイド仲間の中には定年後に地域イベントの運営スタッフになり、ボランティアでの経験が新しい仕事につながった方もいます。

活動の悩みと乗り越え方

もちろん、ボランティアガイドを続けていると悩みも出てきます。

 

当然うまくいかないこともありました。

声がうまく通らず観光客に聞こえなかったり、説明の順序を間違えたりしたこともあります。

また、真夏の炎天下で体調を崩しかけたこともあり、「無理をすると長く続けられない」と痛感しました。

そこで、声を張るのが苦手な私は、案内資料を写真入りで工夫したり、こまめに休憩ポイントを組み込むなど、少しずつ自分なりのスタイルを作り上げていきました。

仲間の助言や支えのおかげで、「失敗も学びの一つ」と前向きに捉えられるようになっています。

これまで体調不良で参加できないこともありましたが、シフト調整が柔軟なため、無理なく続けられるのもボランティアならではの良さです。

地域社会への貢献がもたらす生きがい

ガイド活動を通じて最も感じるのは、「自分が地域の役に立てている」という充実感です。

案内を通して地元の魅力を発信することで、観光客のみならず地元の人にも「この街ってこんな歴史があったんだ」と再発見してもらえます。地域のイベント運営サポートや、祭りの裏方作業などにも参加し、地域との絆を深めてきました。

時には自治体から感謝状をいただくこともあり、頑張ってきて良かったと実感します。

新たな人生の目標

ボランティアガイドを始めてから、毎日が目標に向かって過ごせるようになりました。

「今度はこの神社の歴史をもっと調べてみよう」「次は外国人向けに英語で案内できるよう勉強しよう」など、自分自身の成長のための目標設定ができるようになります。趣味と社会貢献が同時に叶うこの活動は、何歳からでも遅くありません。

仲間たちと一緒に新しいことに挑戦し続ける日々は、まさしく「生きがい」と呼べるものです。

家族との新しいコミュニケーション

ガイド活動のおかげで、家族との会話も増えました。

帰宅後、孫にその日の体験を話すのが日課のようになりました。

 

「今日は外国から来た観光客に○○を案内した」と話すと、孫は目を輝かせながら「それってどうやるの?」と質問を繰り返します。

ガイド用に集めた写真を一緒に眺めながら説明すると、家族の団らんの中で自然に学びが広がります。

妻からも「あなたがこんなに楽しそうに話す姿は久しぶり」と言われ、家庭全体が明るくなったことを実感しています。

 

家族の理解・応援があることで、さらに活動へのモチベーションが高まります。

まとめ:60代からのボランティアガイドを日常に

ボランティアガイドは、60代から始める趣味や生きがいとして最適な活動だと感じています。

歴史を学び直す楽しさ、人と出会う喜び、仲間と協力する達成感。

どれも定年後に得られるとは想像もしなかったものでした。

活動を通して「自分も地域社会の一員として役立てている」という感覚は、何物にも代えがたい充実感を与えてくれます。

これからの人生をより有意義に送りたい方には、ぜひ一度挑戦してみてほしいと願っています。

 

(本記事は筆者の体験談を中心に構成しています。一部、地域や仲間のエピソードも本人の許可を得て掲載しています。体験談の内容は大阪、関西圏を中心に2020年代以降の活動を参考に記載しております。)

 

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