はじめに
私は60代前半で定年を迎え、現在は一人暮らしをしています。
若い頃には結婚経験もありましたが、今は自由気ままなシングルライフ。会社を離れて最初の半年間は「急に自由を与えられても、どう時間を使えばいいのかわからない」という戸惑いが大きく、毎日が空白のように感じられました。
朝は遅くまで寝てしまい、夜になって「今日一日、何もしていない」と後悔する日もありました。
孤独や時間の余り方に最初は戸惑いましたが、少しずつ生活を立て直す中で「60代の一人暮らしだからこそ楽しめること」が見えてきたのです。
この記事では、私が実際に試しながら発見した時間の活かし方を体験談を交えて紹介します。
これから定年を迎える方、すでに60代でシングルライフを送っている方に、少しでも参考になれば幸いです。
定年後すぐは「時間が余る」ことへの戸惑い
退職して最初に直面したのは「やることのなさ」でした。
現役時代は常に会議の予定や取引先との打ち合わせが入り、1日24時間では足りないと思うほどでした。
それが一転、翌朝から誰にも呼ばれない、メールも電話も入らない。喜びも束の間、数日で虚しさに変わりました。最初の頃は、テレビをつけっぱなしにして時間をやり過ごしていましたが、画面の前に座ったまま気づけば昼過ぎ。
そんな日が続いたとき、「このままでは体も心も弱っていく」と強い危機感を覚えました。
そこから私は、まず一日の大まかなスケジュールを書き出し「ゆるい時間割」をつくることから始めました。
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朝は7時に必ず起きる
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午前中は運動か読書にあてる
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午後は趣味や学びの時間
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夕方からは自由時間
もちろん厳密ではありませんが、この「大枠の時間割」を作っただけで気分が安定し、無駄にテレビを見続けることが減りました。
私が取り入れた時間の有効活用術
朝の散歩と簡単な筋トレ
体を動かすことは、頭を使うより先に必要だと実感しました。
退職直後は家にこもりがちで、気づけば一日1000歩も歩かない日が続いていました。
しかし健康診断の結果で「このままでは生活習慣病のリスクが高まる」と医師に言われ、本気で生活を変えることを決意しました。
そこで私が最初に取り入れたのが「毎朝の散歩と軽い筋トレ」です。
近所の川沿いを30分歩くことから始めました。
最初は億劫でしたが、一度外に出れば季節の風が気持ちよく、やがて散歩仲間とも顔なじみになりました。ある日、公園でいつも会うご夫妻に「今日も歩いてますね」と声をかけられたとき、不思議と心が温かくなりました。
独り暮らしでも、何気ない挨拶でつながりを感じられる。これは想像以上の励ましになりました。
また、自宅では腕立て伏せ5回とスクワット10回から始め、徐々に数を増やしました。
最初は膝を痛めて正座すらきつかったのですが、数か月で階段の昇り降りが楽になり、旅行先で歩くのも苦にならなくなりました。
読書と学び直し
時間を有効に使うために「読書と学び直し」も取り入れました。
現役時代はビジネス書ばかりでしたが、今は歴史小説や心理学入門書を楽しんでいます。特に戦国時代を描いた作品を読むと、人物の生き方に自分の暮らしを重ね合わせて考えることができます。
また、オンライン講座で英語を学び直しています。週に数回外国の先生と話す時間は、まるで自分の世界が広がったかのような刺激です。
先日は「もし次に旅行できるならどの国に行きたいか」と質問され、真剣に地図を眺める自分がいました。これは60代になってからの新しいワクワクです。
料理に挑戦する
食生活も意識的に見直しました。
定年直後は総菜や冷凍食品に頼りきりで、栄養も偏りがちでした。そこで「週3日は自炊をする」と決め、まずは味噌汁作りから挑戦。出汁の取り方を覚えたときは、子どものように嬉しくなりました。
やがて炒め物や煮物に広がり、最近では季節の野菜を使ったカレーも作れるように。
最初は味が濃すぎたり失敗もありましたが、それも含めてよい経験です。
スーパーで旬の食材を探す習慣が身につき、四季を感じながら献立を考えることがちょっとした楽しみになりました。
趣味の深化と新たな挑戦
定年前からの趣味であるカメラにも再び力を入れました。
通勤の日々にはただバッグの奥に眠っていたカメラを、散歩に持ち歩くことで「日常の景色」が新しい被写体に変わります。春の桜並木、夏の夕焼け、秋の銀杏並木。
それらをSNSに載せると見知らぬ人からコメントがつき、孤独感が和らぎました。
また、新しい趣味としてウクレレを始めました。手軽で明るい音色は、部屋の空気を一瞬で変えてくれます。
半年ほどの練習で好きなハワイアン曲を弾けたとき、改めて「年齢に関係なく、新しい挑戦は可能だ」と実感しました。
音楽は気分を明るくしてくれる最高の薬だと実感しています。
プチ仕事やボランティアで社会とつながる
「60代になってからも誰かに必要とされたい」そんな気持ちから、地域の図書館で絵本の読み聞かせボランティアを始めました。
最初は緊張しましたが、子どもたちが目を輝かせて話を聞いてくれる姿に胸が熱くなりました。
また、週に一度だけ地元塾で教材整理のアルバイトもしています。収入はわずかですが、同僚から「助かります」と言われたときの嬉しさはお金以上の価値があります。
こうした社会との接点が、毎日の張り合いを生んでいます。
シングルライフだからこその工夫
独身男性の定年後生活で大事なのは「自分との付き合い方」を磨くことだと思います。
誰かが用意してくれる食事もなければ、話し相手も常にいるわけではありません。
孤独をどう前向きに楽しむかが大きな鍵です。
私の場合、次のような工夫をしています。
・日記をつけて一日の終わりに振り返る
・毎週一回は外食して「自分へのご褒美」にする
・月に一度は一人旅をして非日常を味わう
一人だからこそ、自分の興味や好奇心を最優先にできるという自由があります。人に合わせる必要がないので、趣味や旅行も思い切り楽しめるのです。
孤独感との付き合い方
とはいえ、シングルライフには孤独感がつきまといます。
私も夜ふと「このまま一人で年を取っていくのか」と不安になることがあります。
そこで意識しているのが、小さな人とのつながりを大切にすることです。
散歩での挨拶、SNSでのやりとり、ボランティア仲間との会話。
そうした細やかな交流の積み重ねが孤独感を和らげてくれます。
また、定期的に旧友と会うようにスケジュールに「友人デー」を入れました。
これも孤独を防ぐ有効な習慣です。
まとめ:60代シングルライフにおける時間の使い方
定年後の一人暮らしは当初「自由すぎて手持ち無沙汰」でしたが、今では自分なりのリズムを見つけ、むしろ会社員時代より充実を感じています。
- 体を動かす習慣
- 学び直す習慣
- 料理や趣味で心を満たす習慣
- 社会とのつながり
それらは孤独を和らげるだけでなく、毎日の生活に彩りを与えてくれます。
これから70代に向かう中で、不安が全くないわけではありません。
しかし「自分の人生を自分らしくデザインできる楽しさ」を知った今では、未来を明るく描けます。
同じように60代を一人で過ごしている人にとっても、「孤独=マイナス」ではなく「新しい可能性」だと感じていただければ嬉しいです。
60代のシングルライフは、孤独に見えて実は「新しい可能性」を広げる時期です。
私自身、毎日を試行錯誤しながらも「定年後が第二の青春」と思えるようになりました。
これからも時間を大切に使い、60代、70代を前向きに楽しんでいきたいと思います。
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