趣味・生きがい

60代シニア世代のための書道教室:心を落ち着かせる筆の運び

趣味・生きがい

 

還暦を過ぎると、新しい趣味や生きがいを求めて「何か始めよう」と思うことが多くなります。

私は60代を迎えてから仕事時間が大幅に減り、「静かな時間」を手に入れました。しかし、心がざわつく日もあります。

そんなとき、筆を持つ時間が心に平穏をもたらし、生活をより豊かにしてくれることに気付きました。

本記事では、私自身の書道体験を中心に、「書道教室に通うことで得られる心の安定や仲間との交流」「上達するまでの葛藤や変化」「日々の暮らしへの活用」について、具体的なエピソードを交えてご紹介します。

書道を始めたきっかけ

私は定年が目前に迫っていた62歳のとき、突然の喪失感に悩みました。仕事中心だった生活から一変して、膨大な自由時間に戸惑い、家族とも以前ほど密に接する機会が減りました。

そんな時、ふと古い文房具箱に残っていた筆と墨を見つけ、「小学校以来、まともに文字を書いていないな」と思ったのです。

ある日、散歩帰りに街角の書道教室の看板が目に止まりました。「無料体験、初心者歓迎」の言葉に背中を押されるように足を踏み入れたのが、わたしの書道人生の再スタートでした。

体験レッスンでは、先生が「一息ついて、好きな言葉を思い浮かべてから書いてみましょう」と促してくれました。

そのひと筆に自分の気持ちが全て乗る感覚があり、「ああ、これなら何歳からでも始められる」と実感したのを覚えています。

初心者からの一歩:苦労と発見

最初の数か月は、筆の扱いにも墨の調合にも苦労の連続でした。

手が震え、「昔ならもっときれいに書けたのに」と落ち込む日もありました。

先生は「うまく書くより、心を込めてゆっくり書くことが大事」と励ましてくれ、少しずつ書くことそのものを楽しめるようになったのです。

筆の動きに全集中することで、余計な雑念が消え、自然と心が整うのを実感しました。

実際に書いた後は、墨の香りと静かな達成感に包まれます。

家でも一日一枚だけ自分の好きな言葉を書き残す習慣ができ、気がつくと半紙が山のように積みあがっていました。

書道教室での仲間との出会い

週に一度、教室で顔を合わせる仲間は皆60代前後。最初は挨拶程度でしたが、書いた作品を見せ合い、「その文字の雰囲気いいですね」など、褒め合うことで自然と会話が増えていきます。

教室の中には、かつて営業職だった方、退職した教員、地方から移住された方など多彩なメンバーが集っています。

とある桜の季節、教室主催の作品展で、自分の書が展示される機会がありました。仲間と一緒に作品を並べ、同じ趣味の人と交流することで、「自分にも新しい居場所ができた」と強く実感できました。

作品展後には近くの喫茶店でささやかな打ち上げ。様々な人生経験を聞きながら、もう一度自分の生きがいを見つけた思いでした。

書道の健康効果と心への変化

書道は単なる「きれいな字を書く技術」のみならず、心の安定や健康維持にも大きく役立っています。

筆を持っている間は呼吸がゆっくりとなり、ストレスが減るのを体感しました。指先を細かく使うので、脳の活性化や認知症予防にも効果が期待できると言われています。

実際、「最近物忘れが減った」と周囲からも指摘されるようになりました。

遅筆で丁寧に「今日の感謝」を一言書くのが日課となると、自然と心が落ち着き、日々の暮らしに明るい気持ちが戻ってきます。

書道がもたらした生活の変化

日常のささやかな場面でも、書道の効果を感じています。

孫への手紙、お世話になった方へのお礼状、御朱印を書いていただく機会、冠婚葬祭での署名など、「心を伝える筆文字」がとても役立っています。

教室では季節ごとに使える挨拶文や年賀状の練習もあり、「今年は手書きで年賀状を書こう」と思い立ったのも、書道を始めてからです。

パソコンやスマホでは表現できない温かみ――相手にしっかり気持ちが届くことの喜びを初めて味わうことができました。

作品づくりに挑戦する達成感

一年目は教室の課題をこなすのが精いっぱいでした。それでも先生のお手本通り練習を重ね、初めて自分なりに納得できる作品ができ上がったときの感動は今も忘れられません。

あるときは、自分の座右の銘「一日一善」を力強く書き上げました。教室の仲間に見せると、「その字には勢いがあって素晴らしい」と褒めてもらい、自分の内面を筆で表現できる面白さを実感。

次第に「もっと色々な漢字や仮名書に挑戦したい」と意欲が湧き、毎回の練習が待ち遠しくなりました。

書道を続けるコツとモチベーション維持

途中で「今日は気分が乗らない」「納得する字が書けない」とスランプに陥る時期もありました。

そんな時は無理に背伸びせず、「今日は墨の香りを楽しむだけ」「好きな言葉を自由に書いてみる」と気持ちのハードルを下げて取り組みました。

教室では個別指導があり、先生が「焦らず自身のペースで」と声をかけてくれます。

上達を急がず、仲間と比べるのではなく自分の「昨日より少し前進」を目標にしたことで、気負わず長く続けられています。

書道教室選びのポイント(体験談より)

これから書道を始めたい方へのアドバイスとして、教室選びの経験談をまとめます:

  • 初心者歓迎・無料体験があること(私も体験レッスンで安心できました)
  • 教室の雰囲気が穏やかで、緊張せずに通えること
  • 指導者が一人ひとりのペースに合わせてくれること
  • 作品発表会や展示があり、目標を持って練習できること
  • 通いやすい立地(自宅から徒歩圏内、または交通の便が良い場所)

私の通う教室では、毎回新しい課題が用意され、季節を感じる和歌や俳句を書くこともあります。

和やかな雰囲気のなか、個別の添削も丁寧で安心して続けられます。

体験談総集:私と仲間たちのリアルエピソード

  • 教室初日に隣の席になった男性(同じ60代)が「自宅でも孫と一緒に練習している」と話してくれたのがきっかけで、家族との交流も増えた。
  • 書道仲間と展覧会出品、作品展示を見て「次はもっと大きな文字を書きたい」と夢が広がった。
  • コロナ禍でも書道が家でできるおかげで、孤独感を和らげ、心身の健康維持に役立った。
  • 作品完成後、教室の皆で鑑賞会と軽い懇親会。人生経験や趣味の話を聞き刺激になった。
  • 「書道を始めてから朝の気分が前向きになり、生活リズムも安定した」という仲間がいた。

書道と人生:これからの展望

書道は一生続けられる趣味です。70代、80代になっても無理なく続けられるのが大きな魅力。

先生からは「90歳の生徒さんもまだ元気に筆を動かしています」と聞き、年齢を理由に諦める理由はないと励まされました。

私も還暦から始めた書道が、生きがいとなり、これからもより心豊かに毎日を過ごしていきたいです。

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